「調理偽装問題」!? インスタント料理は是か非か、イギリスで政治も巻き込み大騒ぎ
2006年01月10日 08:30
【Exciteニュース】によると、イギリスの若い世代の1/3近くが、できあいの調理済み食品(すなわちインスタント食品)を、「自分が作った料理」だと偽って誰かに食べさせたことがあるという。また男女比では女性の方が不正を行っている率が高く40%にも達しているという。イギリス保険省の調査で明らかになった。
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この調査は同省の「一日五種」(野菜と果物の摂取を促がすキャンペーン)の一環として行われた。さらに10人に1人は、「どうやればいいか分からない」という理由で、これまでに一度もきちんとした食事を作ったことがないということも明らかになった。
「きちんとした食事」の定義が不明確であることを前提としても、1割の人が一度も(手作りの)食事を作ったことがないというのは、驚くべき結果だといえよう。あるいは日本の方がもっと率は高いかもしれないが。
さて、キャンペーンの一環とはいえどうしてこのような「手作り料理」「インスタント料理」に関するニュースが(元記事の元ソースである)ロイターで報じられたのか多少首を傾げるところがあったが、調べていくうちにそれが明らかになった。イギリスでは現在、ブレア政権があるシェフの運動を全面的に支援したことで、子供の栄養問題に関してちょっとした騒動が起きている。
【Fuji Sankei Business i】によると、イギリスの若手人気シェフが、インスタントや冷凍食品などを避けるなど学食の栄養改善を訴える運動をテレビ番組で展開、これにブレア政権が学食の質向上の予算を計上するなどの全面支持を打ち出した。
ところがこの運動と前後して、イギリスのファーストフードの冷凍食品を取扱う【カンタベリー・フーズ(CanterburyFoods)】という会社が急激な業績悪化に見舞われて破産してしまう。因果関係は明確ではないものの、政府が支持したキャンペーンが食品業界を揺るがしたと同社幹部は指摘している。
さらに問題を騒がしくしているのは、この問題にイギリスの与党労働党・野党保守党の非難合戦や政党運営が少なからず絡んでいること。元々因果関係を明確化できないこともあるし、下手な姿勢をとると経済界やマスメディアからの要らぬ反発を受けることも考えられる。
生活に身近な食生活に関する問題なだけに、インスタント・冷凍食品を使うか、それとも手作り料理にするかは教育・栄養問題や政治問題をも巻き込み、イギリスを大騒動に追い込んでいるようである。
ちなみに個人的には、現在の社会構造上、インスタントや冷凍食品をまったく否定することは不可能だと考えている。とはいえ、(ダイエットのコラムでも述べているが)インスタント・冷凍食品の品質管理や質向上、身体に良い商品の開発探求は常に必要だろうし、可能な限り手作りの食品を口にしたいのもまた事実。理想を掲げる一方で、臨機応変に中庸な心構えで現実と向き合わねばならないのだろう。
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