名軍師「半兵衛」ソフト、犯人逮捕のサポートで大活躍

2006年01月08日 09:30

竹中半兵衛イメージ【ZAKZAK】などによると、2004年1月から2005年7月にかけて神奈川県の川崎市内で連続して発生したメガネやコンタクトレンズの連続窃盗事件の解決に、幹部警察官が作り上げた事件分析システム「半兵衛」が大いに役立ったことが明らかになった。

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この「半兵衛」は、管内で発生する事件を管理するとともにさまざまに分類して分析データを表示するもの。名前は戦国時代における豊臣秀吉の軍師「竹中半兵衛」にちなんだもの。記事によればこのような分析ソフトを使った取り組みは全国の警察でも初めてという。

「半兵衛」の開発をした渡辺道雄警視は10年前にこのシステムを構想。2001年秋から、パソコンに詳しい署員らと共に分析ソフトの開発を始め、去年の4月から運用を開始した。今件の事件では「半兵衛」の分析データを元に犯人の傾向などを割り出し、張り込みをしたところ見事に犯人に遭遇。7月28日に逮捕にこぎつけたという。

記事では渡辺警視は「犯人を検挙するのは目撃情報や捜査員の地道な努力。『半兵衛』はあくまで情報を分析するだけ」と強調している。

今件は【Mainichi INTERACTIVE】の記事などからも明らかな通り、昨年暮れあたりに「半兵衛」がピックアップされ話題となり、波状的に各メディアが取り上げ、先日はテレビでも報じられた。調べてみると逮捕直後の昨年7月から8月にも一度「半兵衛」などの名前と共にこのニュースも報じられたが、大手メディアは取り上げなかったようだ。要は年末年始の穴埋めということなのだろうか。

とはいえ、先日のテレビニュースの取材レポートでは、「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で、という科白があるが、将来は半兵衛を用いて会議室で捕まえられるようになるといい」という冗談のような本気のような話まで出てくるなど、関係スタッフも乗る気のようだ。

欧米では犯罪データの蓄積と分析はごく当たり前のように行われているし、そのデータ収拾や分析を専門とする部門も常設されている。今件は「半兵衛」が犯人逮捕に大きな貢献をしたことはもちろんだが、むしろ自称ハイテク立国の日本における警察機関で、犯罪のデータ化とその分析がセクション化されていないという事実に驚かざるを得ない。

テレビの取材レポートを通じて「半兵衛」のシステムを見ると、特定のキーワードを元に類似事件を抽出し、発生曜日や盗難品、逃走経路や手段といった、現場検証やその後の調査で収集できる情報のカテゴリーを分類し、類似するものをまとめあげて分析するという、ごく普通のデータ分析ソフトに見受けられる。対象が事件でなければ、一般企業が利用する商品のマーケティングリサーチツールと何ら変わるところは無い。

犯罪の性質によっては地域性(ごく狭い地域なのか、県レベルなのか、四国や九州というような地方区域レベルなのか、それとも全国レベルなのか)の加味も必要だろうし、例えばごく狭い地域での犯罪のデータを参照した時にも「似たような犯罪が××県にて発生しています。参照しますか?」というようなガイダンスを出す必要もある。

渡辺警視が指摘している通り、「データとその分析結果はあくまでもサポートであり、最終的に取捨選択して判断をするのは人間」に他ならない。だからこそ軍師としての「半兵衛」という名前がつけられたのだろう。だが名軍師がいれば、現場で働く「人間」の感とセンスを加味することで、事件の解決率もグンと跳ね上がることだろう。

「半兵衛」の実績を元に、民間のデータベースや分析ソフト、さらには(後ほどコラムで詳細を説明するが)「過去の事例を元に柔軟に逐次将来の予想を行う」ベイズ理論を導入することで、通常の犯罪のかなりの部分は分析できるだろう。また、現場で働き考える刑事や警察官らの大きなサポートになるに違いない。

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