【更新】日興シティグループ証券(8603)の誤発注は会社業務とは無関係の従業員個人取引で発生

2006年01月05日 23:59

株式イメージ【先に報じた(年末初頭の誤発注、日興シティグループ(8603)が日本製紙グループ(3893)2株買いを2000株買いと)】日興シティグループ証券(8603)による日本製紙グループ本社(3893)株式の誤発注は、同証券の顧客からの注文におけるものではなく、従業員の私的取引におけるものであることが電話取材で確認された。

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先の記事でのNIKKEI NeTにおける参照記事では「日興シティの従業員が個人の資産運用目的で本人の取引口座から」と表記されており、「顧客個人の口座」かどうかが確定できない表記であった。また日興のリリースでも「委託者(当社従業員)が日本製紙グループ本社(3893)につき2株の買付注文を、誤って2000株の注文として当社に発注し」とだけ表記されており、確証が持てなかった。一方同リリースでは「当社内における従業員取引の約定執行過程に於いて管理不備が認められる」という表記もあり、「私的取引」をもうかがわせていた。

この件について日興シティグループ証券に電話で確認をしたところ、今回の誤発注は顧客の注文によるものではなく、従業員の私的な取引によるものであり、従業員個人本人の口座でのものであることが明らかになった。詳細は[YOMIURI ONLINE]に記載されている通り。

誤発注の直後の買戻し行為が法的に問題となることはすでに述べた通りだが、今件の事実発覚により、「機関投資家(証券会社の自己売買部門)向け端末で証券会社関係者が個人の私的な口座の取引を行う」という事実が発覚したことになる。今回たまたま誤発注により事実が明らかになったわけだが、これまでにも日常茶飯事的に個人口座における注文を機関投資家向け端末で行っていたことはほぼ間違いないものと思われる。

日興シティの管理問題もあわせ、このような注文が行われた際に法的な管理部門のチェックがミスによって機能しなかったこと、さらにはこのような注文が「行えた」(不法行為としてストップがかからない)システムが存在することは、きわめて大きな問題といえるだろう。

また、仮にその従業員個人の口座に10億円分の余力が存在していたのならともかく(その場合発生した損失は当然個人が自己責任として負担することになる)、その余力無くして10億円の注文が成し得たとするのなら、「機関投資家向け端末では余力が足りなくても売り買いの注文は可能」という、いわばインチキが露呈されたことに他ならない。

関係各所には事実の速やかなる究明と状況の改善を断行してほしいものだ。そうでなければ先の件ではないが日本の株式市場は「世界の笑いもの」になってしまう。

※追記記事:

(1)「10億の余力がその個人従業員にあったのか。無ければどうして買い注文が確定してしまったのか(それとも証券会社の取引端末では余力の計算はされていないのか)」
(2)「どのような事情があろうとも同一銘柄で大量の株式の売り買い同時注文は株価操作などの点で証券取引法上問題があるのではないか」


以上2点について再度確認を日興シティーグループ証券にしたところ、

(1)該当する従業員の個人口座には10億の余力は無い。また、証券会社内の取引端末では余力のチェックは行われない(だから余力以上の注文が通ってしまった)。
(2)株価操作を意図して行われた取引であれば証券取引法に抵触する可能性はあるが今件の場合明らかに誤発注であり、その旨を即時に東証に通達し、その上で誤発注の買い注文に対する売り注文を出したので問題は無い。


とのコメントをいただいた。

追伸:電話での質問にお答えいただいた日興シティーグループの担当の方、まことにありがとうございました。

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