能力不足が叫ばれる東証のシステム、導入は10年前で耐用期限過ぎのものだった
2006年01月23日 08:30
【asahi.com】によると【東京証券取引所】の清算システムが、約10年前に導入されたもので当初の耐用期限は2004年後半だったことが明らかになった。東証の取引システムは売買と清算の二つに分かれており、今回問題になったのは清算システムの方。市場の混乱を招いた東証側の先見性・計画性の無さに批難が集まりそうである。
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記事によると現行におけるシステムを構築するコンピューターは【日立製作所(6501)】の大型汎用機(メーンフレーム)で、独自開発のソフトを組み込んでいる。データを収納するハードディスクの空き容量が約定処理能力を決定し、この容量から現在は450万件/日に限られている。
次期システムの開発は東証と日立で数年前から進められていたものの、ハードの耐用期限である2004年後半に間に合わず、その後は現行システムの保守・整備で対応していたという。昨年10月にはデータ移動などでハードディスクの空き容量を増やして処理能力を300万件/日から450万件/日へ増強。さらに先日500万件/日へ増強された。だがこの増強でも不十分であることに違いはなく、数か月以内に700万から800万件/日まで増強する考えだと記事では述べられている。
大型汎用機は動作安定性・故障のしにくさなど「安全性」を第一にする、金融機関などインフラ系のシステム構築には欠かせないものであるが、それだけに開発には時間がかかる。デイトレーダーやネット証券を用いた個人投資家の急増による注文・約定件数の急増は特に今世紀に入ってから著しいものがあるが、その前兆はすでに前世紀末に見受けられている。
東証の屋台骨を揺るがすほどの出費なわけはなく、いざとなれば政府などから公的基金を受けるだけの価値もあるのだから、そして開発には時間がかかることは分かっているのだから、もっと早めに大規模な、それこそ欧米の例に習ったレベルでの大規模な能力アップを推し進めるべきだったのだろう。インフラを抱えているという自覚と能力が無ければ、上場など言語道断といわざるを得ない。
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