スパムメール撲滅運動のリーダーがスパムメールを大発信
2005年12月25日 08:30
【ロイター通信】の報によると、迷惑メール撲滅運動の陣頭指揮を執っているアメリカ・フロリダ州の検事総長が、自分自身ではスパムメールで選挙運動を行って話題をさらっているという。当事者の名前はチャーリー・クリスト氏。
スポンサードリンク
クリスト氏は州立法府で昨年可決された「反スパム法」の熱心な支持者。この法律はスパム行為を行ったものは「一通につき」最大500ドルの罰金が科せられることになる。スパムメールはたいていにおいて、大量に配布されることになるから、例えば1万通ものスパムメールを送付した場合、罰金の最高額は500万ドル、日本円にして5億円以上にもなる。
記事によるとクリスト氏は有権者に対し、自分の応援と選挙運動用の献金を求める内容のメールを送りつけているという。受信した相手は自分のメールアドレスに送られて来た理由が分からず、また、何度も取り消そうとしてもかなわなかったという。「被害者」の談としては「クリスト氏のスパム撲滅に対する言動は偽善行為だ」とし、同時にクリスト氏へスパムメールを止めるように申請したメールの中で「私は検事総長事務局を告訴しなければならないのか」と書き添えたとのこと。
クリスト氏の知事選における広報担当は今スパムメール行為に対し「これはスパムメールではない。真実であり、正攻法である。私たちはウソをついていない。フロリダ州法では、スパムメールは『人を欺く内容』のもの、と定義されているからだ」とし、さらに「検事総長であるクリスト氏も今メールをスパムとは思っていない。彼は最前線に立ち、スパムから皆さんを保護しているのだから」と説明している。
アダルトサイトや通販サイトへの誘導をうながすスパムメールの送信元も、皆がみな、自分はうそをついていないと主張する。中には虚実の表現を用いた詐欺的なものもあるだろうが、それはほんの一部に過ぎない。それに、うそかどうかなどは、送り手側の勝手な思い込みと行動の正当化でどうにでもなってしまうものだ。いざとなれば「本当にそう思っていた。うそだとは微塵も考えていなかった」で済んでしまうからだ。
広報氏の言葉を借りれば、クリスト氏陣営の「選挙運動スパムメール」は、最前線に立っている「味方」であるはずの者が、味方の陣地に弾を撃ち込むような行為と表現できることだろう。
禅問答ではないが、クリスト氏の選挙運動スパムメールがスパムメールでないとするのなら、同州の「反スパム法」はザル以外のなにものでもないと内外に喧伝するのと同じことになるし、効力が無いと認めてしまうことになる。そうなれば、クリスト氏陣営の発言にある「スパムから皆を保護している」云々という発言も意味を成さないものになってしまう。「反スパム法」を効力のない物と定義してしまうからだ。他のスパム業者が「反スパム法」で取り締まられた際、「クリスト氏と同じことだ」と反論されたら、当局側はグゥのネも出なくなってしまう。
と、なればクリスト氏陣営の発言「スパムから保護」云々はウソということになる。よって、結局のところ「反スパム法」に抵触してしまうのだ。
莫迦莫迦しい話だが、どちらにせよ、放火予防のための見回りをしている消防団が放火をしたような今回の行為は多くの人がごく普通に考えても「おかしな、矛盾する言動」に他ならない。赤っ恥をかく前に、早急に謝罪と今後の「スパムメール」の送付停止を宣言し実行した方がよい。
そうでないと、知事選の対立候補にもっと大規模なスパムメールによる選挙活動をされても「反スパム法」の適用ができなくなってしまうことだろう。
スポンサードリンク
ツイート