「ドラマ内広告」の増加にアメリカの脚本家組合が抗議

2005年12月23日 08:30

【HOT WIRED Japan】によると、アメリカにおける「プロダクト・プレースメント」(映画やドラマなどに商品を意図的に登場させて視聴者に刷り込み効果を狙うタイプの広告手法)の普及と共に脚本家らの負担が増加、これに対し現状以上の多額の報酬を支払うようにとの動きが出ているという。

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日本でもテレビ・広告業界内では問題視されつつあるが、DVDレコーダーの普及によるテレビコマーシャルの早回しやスキップによる広告効果の減少と共に、「プロダクト・プレースメント」への広告のスライド、注力がアメリカでは盛んになっているという。実際に、アメリカのテレビ業界では商品関係の売上が昨年は84%も増加していることからもその実情がうかがえる。「テレビ番組と広告を区別する明確な境界線はもはやない」と指摘する者もいる。

このような動きに対して一部では「仕事を裏切る行為」として訴えた脚本家もいたものの、抗議をした脚本家のほとんどは「広告メッセージを組み込む行為に対して、正当な報酬が支払われていない」という経済的な観点からのものだった。

商品の「プロダクト・プレースメント」を脚本に導入するのには非常に手間がかかる。自然で無ければ視聴者に煙たがれ逆効果となり、脚本そのものを台無しにしてしまう。また、導入の指示が締め切り直前に行われる場合もある。脚本家の中には「プロダクト・プレースメント」を「職務外の仕事」と見なし、その上で「職務外の仕事に対しては特別な手当をもって報いられるべきだ」とする者もいる。

「純粋で文化的・倫理的な観念からではなく経済的な理由からの訴えか」と多少肩透かしを感じた上で、「あるいは経済的な観点から訴えた方がダイレクトに相手への印象を高めるのかもしれないな」と思った上で。日本に目を向けてみる。

日本の脚本家が似たような行動に出ているは関知するところではないが、少なくとも「プロダクト・プレースメント」の手法は日本でも行われている。俗に言うトレンディー・ドラマで一介のサラリーマンがとんでもない家賃であろう高級マンションに一人で住みさまざまなブランド品を身につけていたり、不自然なカメラアングルで特定のアイテムが映し出されるような場面があり、その番組のスポンサーにそれに類する会社があれば、ほぼ間違いなく「プロダクト・プレースメント」が使われていると思って良い。

また逆に、スポンサーのライバル会社の商品は絶対に出さず、どうしても出さねばならない状況でも会社を特定するようなロゴなり形状は不自然な形でぼかしたり隠すのも良く見受ける話。

【「プロモ」であって「ヤラセ」ではない、と……ソニーのマーケティングと「言葉のあや」】でも多少言及したが、「プロダクト・プレースメント」は確かに有効な手段。刷り込み効果というものは昔から使われてきた手法であり、高度な分析が可能な現在、高精度で緻密な活用が可能だろう。とはいえ、その度が過ぎると番組そのものが主なのか商品の刷り込みが主なのかが分からなくなってしまう。

実物を出した方がドラマに現実感が増すから良いではないかとする意見もあるだろう。だがそれも加減次第。商品紹介まがいのシーンばかりなら、いっそのことテレビショッピングのような番組構成にした方が効率が上がる、という本末転倒な話になってしまう。

うどんに振り掛ける調味料としての七味トウガラシは一振り二振りだからこそ味を引き立てうどんそのものを美味しくさせてくれる。それが一つかみの量だったり一瓶丸ごとにでもなれば、うどんは台無しになるだけでなくトウガラシそのものへの印象も悪くなる。

「ひさしを貸して母屋をとられて」からでは遅いのだ。

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