「プロモ」であって「ヤラセ」ではない、と……ソニーのマーケティングと「言葉のあや」
2005年12月18日 12:44
先に【最近のソニーの広報展開はどこか変? 落書きを使ったPSPの広告が不評、物笑いのタネに】で記事にした通り、最近特にソニーのマーケティング手法に「?」マークをつけたくなるような事態が相次いでいる。CDにウィルス紛いのスパイウェアコードをこっそり載せた件は大規模な訴訟にまで発展しているし、「世界に冠たるソニー」らしくない振る舞いだ。マーケティングのスタッフがあくまで自信を持っているのか意固地になっているのか、それは不明だし、むしろあるいは自分も含め一部の人たちが「世間一般の考えからは外れている」と思ってしまうこともある。
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そんな中、先の参照記事でも取り上げた「新型ウォークマンの『モニター体験談ブログ』による広報展開手法で色々と指摘され、あっという間に”自爆”してしまった」件で、ソニーへの質問状とその質問に対する広報センターからの公式回答が経済誌に掲載されている旨が【engadget】に掲載されていた。
それによるとソニー側の見解曰く、
「ソニーマーケティング(株)より製品の貸与は行いましたが、ブログ内の体験レポート記事はあくまで“各モニター個人の体験”に基づくもので、pinkyさんの体験によるコメントに、ソニー側からのコントロールや「ヤラセ」を行った事実はございません。
しかし残念ながら、pinkyさんのコメントや画像が一部の方々に誤解を与え、それに対する様々な憶測のコメント、議論が急拡大する結果となりました。最終的には、当初の企画趣旨とは全く異なる方向へと発展したため、企画しましたソニーマーケティング(株)の判断で、「ウォークマン体験記」は終了させていただいた次第です。」
ちなみに「pinkyさん」とは件のブログで「モニターに当選した」としたブログ筆者自身。見解を良くかみ砕いて読み直して見ると、
・製品の貸与は行った
・ヤラセではない(第三者に指図をして当事者=ソニーサイドの意図を反映させた行動を採らせたわけではない)
とある。つまり、pinkyさんが「まったくの第三者」で指図を受けずにあのようなブログを展開したのか、それとも「ソニーと何らかの関係がある関係者=当事者」だった、のいずれかということになる。内部関係者に第三者のふりをさせて意図を反映させるのは、「ヤラセ」ではなく「自作自演」と表現するからだ。
だが、掲載されていた場所(URLを見れば分かるが、何らかの形でソニーが意図的に場所を提供しないとあのURLでブログを展開することは不可能)やブログの公開中に指摘されたさまざまな「矛盾点」は、本来「一般モニター」といわれる人では説明がつかない。
と、なれば、今ブログ(による広報展開)は「自作自演」という結論が導き出される。これなら上記のソニー側見解も「ウソは言っていない」ことになる。「コントロール」云々も、自分(関係部署)で自主的に行った結果なのだから「コントロールの事実は無い」という言葉に間違いは無い。関係者に「モニター個人」がいただけの話。そう解釈できる(あくまでも「言葉のあや」としての問題になるが。一言で言い直すと「屁理屈」)。
今流行りの言葉で表現すれば「ジサクジエン」というところなのだろう。
前の記事でも述べたが、最近のソニー関連商品では似たように「見知らぬ第三者のふりをさせてソニーの商品を(モニターなどで)ブログ上で太鼓持ちさせる」ものの、ツメが甘くボロを出して不自然さを指摘される例がいくつもあるという。
繰り返しになるが、感想としては「どうにも初歩的なミスが多すぎる。単に下請けの代理店あたりが(※下請けどころかグループ会社だったわけだが)が「ブログで初心者風にモニターのふりをして宣伝すればいいだろう、なぁに消費者はすぐに踊ってくれるさ」くらいの軽い気持ちで運営したとしか思えてこない。これではまるで、大根役者が演じている、科白を棒読みでとちりまくりの映画を見ているようなものだ。
宣伝だろうと意図的な情報の流布だろうと、それが本当に良いものであるのなら別にかまわない。なんとなく「ああこれはメーカーサイドの意図が絡んでるな」と多少思わさせてくれても問題はない。だがどうせならもっとうまくだましてほしいものだし、気持ちよくだまされたいものだ。」の言葉に尽きる。
……確かにブログで素人のふりをさせて自社製品を持ち上げるという手法は「山ほど存在するネット上での広報展開手法」の一つとして存在する方法論ではある。だが、あまりにもずさんすぎるのは、「それなりのスキルを持つ人材がいない」ということなのだろうか。あるいは「自爆」「自作自演がばれるのも広報展開の有効な一つ」というポリシーを持っているのだろうか。
反復記録検証されないテレビ・ラジオ・新聞などの既存メディアならともかく、不特定多数の人に検証されてその結果が即時に大多数の人に伝わりうるインターネットでの宣伝手法としては、あまりにもお粗末としかいいようがない。
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