流した涙の価値は。人の造りし悲劇のジェイコム「株主」は誰か
2005年12月12日 19:30
【先の記事にもある通り】、【ジェイコム(2462)】株式の決済方法が決定したわけだが、リリースを読み解いて「誰が泣きを見るのか」を考えてみる。もちろん誤発注をした【みずほ証券】や不具合が露呈し責任問題が発生した【東京証券取引所】は言うまでもない。前者については当初最大1000億円前後にまで損失がふくらむ可能性が高かったところを日本証券クリアリング機構の決定でどうにか400億円程度に抑えられたあたり、泣きの度合いが少なかったと解釈もできようが……。
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・12月8日に買い注文を約定した、現在株主予備軍の人。これは喜々交々(ききこもごも)といったところか。最安値で買えた人はもちろん、最高値で買った人も、「買値より下がるかもしれない」というリスク無しに、プラスαの利益を短期間で獲得できたことになる。ただ、「長期的な株主になりたい」と思っていた人やもっと値上がりを期待していた人にしてみれば「儲けの機会を失った」という反発もあるだろう。
・12月8日に新たに買いを入れ、その日のうちに売り払った人。利益を得ていた人は「持っていればもう少し儲かったかな」と思うか、「資金拘束されずに済んでよかった」と思うかは人それぞれ。逆に8日のうちに買い・売りを完結し確定損を出した人(あまりいないと思うが……)は地団駄踏みまくりだろう。
・一番悲惨なのは、公募で取得し、誤発注による株価急落で焦って、慌てて売ってしまった人。クリアリング機構の発表によれば、売付約定については(公募組だろうとザラ場で買った人だろうと)通常通りの決済が行われる。つまり「買い注文が現金決済で株券引渡しはナシなのだから、自分の売り注文も無しで手持ちに株券残して、代わりに売却代金を返却する」ということは無い。
誤発注に踊らされ(ここが重要)、株主の権利も失い、損失を確定するだけ。お話にならない。無論、公募価格の61万円より高値で売った人も(それなりに利益は出したものの)狼狽しての売りがほとんどだろうから、心境はさほど変わらないに違いない。
間違いを引き起こしたみずほ証券やその原因の大きな要素を持つ東証がそれぞれしかるべき責任を取るものの、それで公募で取得して12月8日に売ってしまった人の損失がカバーされるわけではない。確かに投資は自己責任だが、場の提供者らによる間違った情報によって引き起こされた判断である以上、何らかの救済策がなされても良いような気がする。
ちなみに「公募で取得して12月8日に売買に参加しなかった」株主はすでに株券を引き渡されているので、現金強制決済(解け合い)の対象ではない(はずだ)からご安心あれ。あくまでも12月8日に「売買した」株主らが解け合いの対象。
もちろん、公募で取得して12月8日に一度売り、再度買い戻した場合は今回の解け合いの対象になるのでご注意を。
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