【更新】【追記記事あり】みずほ証券によるジェイコム(2462)株式誤発注問題、東証システムの不具合も原因と発表

2005年12月11日 19:21

【東京証券取引所】は12月11日、先に発生したみずほ証券によるジェイコム(2462)株式の誤発注に関する問題で、みずほ証券側の注文取消し指示が東証側の「みなし処理」などのシステム不具合によるものであることを明らかにした(【発表リリース】)。当初みずほ証券側に責があるとし、東証には瑕疵責任はないと主張していただけに、今回の事態に東証側の責任も大きく問われそうである。

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東証側の発表でははじめにお詫びを述べ、続いて「経緯」「現時点で判明している処理状況」「今後の対応」について述べている。

本来、今回のような1円61万株もの売り注文があった場合、ストップ安における比例配分での取引成立が行われたはずであるが、逐次買い注文が成立するという状況が発生していた。今件については取引翌日から、その点を指摘しシステム側に不備があるのではないかという指摘(注文の売り値が差し替えられたのではないか)が一部でなされていた。その指摘通りなら、みずほ証券側の説明にある「(1円61万株売りの)注文取消しをしようとしたがキャンセルされた」という説明も合点がいくことになる。

今回東証から発表されたリリースではそれを裏付ける内容が示されている。リリースによれば、

午前9時27分、ジェイコム株式に対し、みずほ証券が61万円で1株の売注文を、1円で61万株として発注いたしました。その際、同銘柄は67万2千円の特別買気配を表示中でしたが、当該売注文により約定成立要件が整い、売買が成立しました。ただし、今回の売注文が大量で初値成立後にも残っていたため、残存分は初値決定により設定された呼値の制限値幅の下限である57万2千円の売注文として登録され(詳細は後述いたします)、大量の買注文と間断なく順次約定していくこととなりました。その過程で、みずほ証券から当該注文に対する取消注文が発注されましたが、そのような例外的状況において生ずる不具合が売買システムに存在したため、取消しができずにその後も連続対当により約定が順次成立することとなりました。


とあり、みずほ証券側の誤発注売り注文が東証側のシステムによって勝手に再登録され売られ続けたことになる。よってみずほ証券側の「最初の」注文は受け付けなくなって当然といえる。

この状況について東証側では具体的に

新規上場銘柄の初値が決定した際には、当該初値を基準として同銘柄の呼値の制限値幅が設定されますが、この制限値幅を超える注文は、売買取引制度上、制限値段の注文とみなされます(以下「みなし処理」といいます。)。本事象は、このみなし処理が行われた注文に対する取消・変更処理の不具合であることが判明いたしました。

具体的には、ジェイコム株式について、特別買気配67万2千円が表示されている状態で午前9時27分に1円の売注文が発注され、初値67万2千円が決定いたしましたが、これにより呼値の制限値幅(上下10万円)が設定されました。この1円の売注文が大量で初値決定以降もなお残っていたため、みなし処理により呼値の制限値幅の下限である57万2千円の売注文として登録され、この後、67万2千円から順次買注文を消化する形で、約定を繰り返しつつ、値段が下落していくこととなりました。

このような状況下でみずほ証券による注文の取消しが複数回にわたって行われましたが、当該注文が発注された時点で板状態が対当中(約定処理中)であった場合に、対象注文が取消されないという不具合が発生いたしました。これは、みなし処理がなされ、それに対当する注文が存在する場合に生ずる不具合です。


と説明。システム側の不具合であることを正式に認めている。そもそも、上場直後において値幅制限が設定されていない段階で「1円の売り注文」が出来てしまったこと、その注文が初値がついて値幅制限が設定された後も「みなし処理」として値幅制限内で有効とされてしまったことに「悲劇」の始まりがある。その約定数があまりにも多かったため今回の騒動につながったことになる。

簡単にからめてみると

・上場による公開。取引開始。まだ初値はつかず。
・[みずほ証券]1円61万株売り(誤発注)。このとき67万2000円で特別買い気配。
・67万2000円で初値がつく。57万2000円から77万2000円での値幅制限設定。
・[東証]みずほ証券のオーダーのうち約定していない分を57万2000円の売り注文として「みなし処理」。
・[みずほ証券]「1円61万株の注文」を取り消そうとするが、東証側によって「57万2000円の売り注文」とみなし処理されているため(しかも断続的に売り買いが成立しているため)受け付けない。


という流れになる。

今回発覚した不具合が、東証側の仕様によるものなのか、それともシステムを開発した富士通(6702)の責にあるものなのかは現在のところ明らかにされていないが、東証側では「当面新規上場銘柄に対する監理の強化を行うとともに、今後はこのようなケースを含め、あらゆるケースを想定して十分な精査を行い、不具合が生じることのないよう努める所存であります。また、今般の不具合につきましては、売買システムの開発担当者である富士通株式会社の協力を得て、早急に詳細原因の徹底分析を行うことといたしたいと存じます」と説明している。

まだ「想定の範囲外」「青天の霹靂」などという、今流行の言葉を使わなかっただけ救われるところがあるが、いずれにせよ東証のシステム管理体制に対する責任があらためて問われそうである。この分では来年予定の東証自身の上場も遅れる可能性がありそうだ。


※追記記事:【NIKKEI NeT】によると、今回の東証のシステム不具合発覚に対し、金融庁は証券取引法に基づく報告命令を出した。12日までに不具合の経緯と原因を報告するよう要請したという。今件について行政処分の発動公算が高くなった。

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