講談社、会員に漫画無料配信のサイト「Michao(ミチャオ)」開設

2005年12月28日 08:30

Michaoイメージ【講談社】のデジタルコンテンツ出版部は描きおろしの連載コミックを無料でパソコンに配信する会員制サイト【Michao(ミチャオ)】をスタートした。紙媒体のコミック雑誌を読まないインターネット利用者にコミック作品の存在を知らせると共に、単行本や電子書籍を購入させるのが狙い。また、会員の閲覧傾向を元にしたマーケティングリサーチデータの取得も行う(【参照記事:NIKKEI NeT】)。

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MichaoイメージMichaoでは、橋本ライカ氏の「海へゆく」や金井たつお氏と宮崎信二氏による「マイダスの薔薇(ばら)」など7作品を連載、毎週金曜日に内容を更新する。更新内容は約1か月はサイトに残り、一部は電子出版販売会社を通じて有料で配信されたり、単行本や電子書籍化される。

なお会員になるのに必要な項目は「メールアドレス」「パスワード」「ニックネーム」「性別」「年齢」の5つのみ。会員になると毎週金曜日にメールが届けられ、更新内容を確認することができるという。

紙媒体には紙媒体なりの便利さがあるが、電子媒体で漫画をみたいというニーズがあるのは事実だし、その需要を満たすためのサイトが作られるのも当然の話。このようなデジタル出版漫画で今現在問題なのはビジネスモデルの確立(言い直すと「どうやって採算をとるか、もうけるか」)の点にある。デジタル化されても削減できるのは原材料費くらいで、流通コストはシステムの構築費などに差し替えられるし、漫画家への報酬は紙媒体におけるそれと変わらない(あるいは手間を考えるともっと多く必要かもしれない)。

現状ではよほど「読みたい」という欲求が高くない限り(例えばギャンブルや金融関係など金銭が絡むもの、あるいはアダルト系でないと)、紙媒体と同じような価格を求める有料制サイトでは、顧客を集めることは難しいだろう。となれば、独自採算性をとった場合に「割りのあう」状況にもっていくのは非常に難しい。

無料にして別サイドからの収入を考えるか(広告ビジネスなど)、あるいは宣伝費などと考え別コンテンツと包括して採算を考慮するか、それとも今件のように「お試し版・宣伝媒体」と割り切り後ほど紙媒体などでの有料販売を前提にするか。現状ではこの3タイプが代表的な方策であり、試行錯誤が続けられている。

例えば高価な専門書や技術書などはお試し版を無料で配布し、気にいった人に正規版を有料で配布(電子媒体でも紙媒体でも)するスタイルがマッチしている。大ベストセラーにならなくとも、1商品あたりの単価を上げることでそれなりに採算が取れるからだ。

便利だから、だけでは成り立たないのがビジネスの辛いところ。いかにして収益を上げられるような仕組みを作り上げ、「送り手も読み手も満足できる」電子出版を行えるかが今後も模索され続けるだろう。


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