【更新】「隠ぺいの事実なし」としていた日本ERI(2419)、「応対者が上司に報告する必要がないと判断した」と主張をひるがえす
2005年12月01日 19:05
[YOMIURI ONLINE]などで報じられている通り、先日マンションなどの耐震強度偽装問題に関する参考人質疑で[イーホームズ]の藤田東吾社長が「[日本ERI(2419)]が偽装を隠ぺいしているという話を聞いたのが一連の偽装を知るきっかけだった」としたことについて、日本ERIに通報していた設計会社社長が複数の報道機関の取材に応じ、日本ERIが不正を知りながら放置したなどと状況を説明した。
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記事などによると、設計会社社長は自分の設計に対して「コストダウンが必要」とされた案件について、「この男なら安くなる」と推挙して[木村建設]の東京支店長や[総合経営研究所](代表取締役・内河健)がつれてきた姉歯建築士による再設計の内容を不信に思い、姉歯建築士が作成し直し日本ERIが建築確認をした構造計算書を設計業者に依頼して点検したところさまざまな不備を確認。そのことについて「単なる計算ミスではなく作為的なもの。他物件も調べるべきだ」と強く対策を求めたものの、日本ERI側からは連絡は来なかったという。
その後、この設計業者が姉歯建築士が関与したマンションの設計図を見て計算書偽装を確信し、イーホームズに通報し、事態が発覚したという。
【先日のイーホームズの藤田社長の指摘に対して】日本ERIでは「まったく事実無根であり、国会の場でしかもテレビ中継を意識して、競争相手である当社に根も葉もない誹謗を浴びせて、当社の事業に意図的に打撃を与えようとしたものであり、極めて不当かつアンフェアなやり方であり、到底許されるものではありません」という内容のリリースを出すと共に記者会見でも怒りをあらわにしていたが([参考リリース、PDF])、上記参照記事では日本ERIは「「応対者が、上司に報告する必要がないと判断したようだ。結果として被害を拡大させ申し訳ない」とし、一転して(結果的に)事実を隠ぺいしていたことを認めている。
また、この「イーホームズに通報」の過程では、[Mainichi INTERACTIVE]によると、一度指摘したもののイーホームズ側は「再確認したが問題なし」と回答したため、設計業者が自らイーホームズ社に乗り込んで具体的に指摘、ようやく状況を把握したという。また記事によれば、先の参考人質疑で藤田社長が「偽装を確認した」と説明したものの、「イーホームズの再確認でも偽装は見つからなかった」という事実は明らかにしていなかった。
ますます混迷を深める一連の事件だが、仮に何らかの意図を持った上で「意図的に偽装を隠ぺいした」のなら大問題だし、「技術・能力的な問題で偽装を見抜けなかった」のなら、その見抜けない数の多さからそれはそれで問題である。また、日本ERIの場合には「対応者が判断したので会社全体の責任ではない」とも受け取れる説明をしているが、それだけが原因だとしても問題が無いとはとても考えられない。
どちらにしても大の大人が「自分の立場上最低限果たすべき責務」すら満足に果たさず、甘い汁を吸っていたがゆえの結果、ということなのだろうか。
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