これも「怪しさ」を図る指針の一つ? 宮(9901)に見る粉飾の可能性を探る
2005年12月04日 10:10
【先に報じたとおり(宮(9901)、12月1日から監理ポスト割り当て。報告書の不備で)】ステーキなどの外食チェーン店【宮(9901)】において、大規模な粉飾が発覚し、監理ポスト行きとなった。原因は担当経理役員による独断での不適切な会計処理と発表されている。この件に関し、【財務アナリストの雑感】にて、鋭い指摘がなされていたのでここ紹介する。
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上記サイトでは宮のサイト(発表リリース)から「不適切な会計処理」方法
1:100%子会社の建設取引の仮装
2:割引優待券を利用したもの
3:広告宣伝費の取引先への付回し
4:有形固定資産の架空計上
を抽出した上でそれぞれについて内容を解説。さらによく言われる「青山リスク」(中央青山監査法人がカネボウで粉飾をしていたのが発覚したのと前後して、数多くの担当会社で粉飾が明らかになったことから、確率論として同監査法人が担当する会社は「リスク」が高いのではないかとする説)を例に出し、粉飾時の財務諸表もカネボウでのそれに類似していることを指摘。
だが今回もっとも注目すべき指摘は青山リスクではなく、有価証券報告書に記載されている粉飾の温床の「ヒント」を見つけたとする部分。解任された経理役員の経歴から、(税理士の資格があるか否かはともかくとして)最長18年間も経理の長にあったことを指摘、(上場企業の経理部長にしては)継続監査年数が長すぎるとしている。そして「在任年数の長い経理部長にも気を付けろ!」と結論付けている。
在任年数が長い経理担当すべてが犯罪に関与していたり粉飾しているというわけではもちろんない。ただ、今回の宮の件に限らず、経理の粉飾が露呈され報じられる場合、同一人物が長期間にわたって同じ会社の経理を担当するという場合がきわめて多いのも事実(さらに「該当人物単独」という場合も多々ある)。公認会計士の1企業あたりの継続監査年数だけでなく、経理の長の在任年数の短縮も、企業は検討すべきだろう。人間、清廉潔白100%な人間などいやしない。長期間「そのような」環境におかれた場合、誘惑に負けてしまう可能性がまったくないとは誰にも言い切れない。
単純な確率論と前置きをした上で、近年定説化しつつある「青山リスク」と共に、「在任年数が長い経理部長」も、「危険回避のための条件」に入れても良いような気がする。どのみち上場銘柄は1000以上存在する。何らかの思い入れなど強い理由がない限り、リスクの高い銘柄を選ぶ必要もあるまい。
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