日本人の投資性向に変化のきざし? 家計のリスク資産10%を超す
2005年12月15日 19:35
【NIKKEI NeT】によると、日銀が12月15日に発表した2005年9月末の資金循環統計(速報)(【発表ページ】)において、家計の金融資産残高は前年同期比3.3%増の1453兆7000億円となり、過去最高を記録した。株高や個人所得の上向き傾向が要因だという。
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記事によれば特にリスク資産への比率向上が目立ち、株式や投資信託などリスク資産の比率は10.5%と2桁代に。特に「株式」の伸びが目立ち、前年同期に比べて25%増・残高96兆円となった。また、投資信託も過去最高額を記録している。
リスク資産への投資比率が高まったこと自体は注目すべき、そして好むべき状況であるともいえる。だが現在は株価が比較的堅調なのでさほど問題は生じていないが、「リスク資産」に必ずつきものの「リスクが発生した場合」の対処などがきちんと手段としてとられているのか、少々不安なところがある。
日本人はどちらかというとこれまで安定志向、リスク資産より貯金や国債、現金保有など安定資産を好む傾向が強かった。それが昨今の規制緩和や株式などのインターネット取引の普及、株価上昇に伴う「株をやれば儲かる」という「神話」の普及から、世間一般にも海外並みの「リスク資産への傾注」が進みつつある。
その一方、「投資は自己責任」「リスクには必ず失敗がつきもの」「勝ち馬ばかりに乗るなどできるはずもない」という、リスク資産における常識の伝播・啓蒙がまだ十分ではない気がする。
株価が多少なりとも下げてくると、かつてのバブル崩壊以上の惨劇が起きるのではないか。今からそれが心配である。当時と比べるとネット証券を利用した個人投資家の数は急増しており、「パニック売り」の規模も当時と比べると比べ物にならないだろう。そしてネット世界における集団心理は、一度トリガーが引かれると暴力的なまでに一方向に進む場合が多い。
単なる心配性の戯言で済むことを祈りたい。ともあれ、「リスクが高まればそれだけリターンも多いけど、リスク発動時の損失も大きい」ことはあらかじめ頭に入れておくべきだろう。
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