SNSの仕組みを悪用した勧誘手法、進行中

2005年11月22日 19:15

スパムメールや広告宣伝の書き込みなど、ありとあらゆる手で忍び寄るインターネット界における迷惑広告や詐欺的商法への誘惑だが、その影はSNS(ソーシャルネットワーキングサイト)にも忍び寄りつつある。先日、日本最大手のSNS【Mixi(ミクシィ)】で、ある事件が発生した。そしてその影響は今後さらに拡大するものと思われる。

スポンサードリンク

Mixiにはそれぞれの会員のプロフィールを含めた「自己サイトエリア」に他会員がアクセスしてきた場合、「足跡」として簡易アクセスログを残すことができる。また、他の会員と日記(ブログみたいなもの)の見せ会いをするなど「ある程度親密な関係」になるためには相手に「マイミクシィ」登録をしてもらう必要がある。

数珠つなぎ的な人と人とのつながりを重視するSNSでは、自分からある程度積極的に行動しないと「マイミクシィ」の数を増やしたり、多くの人に自分の日記やプロフィールを見てもらえない。そのような仕組みのSNSで、突然自分が見たことも聞いたこともない人の足跡が頻繁に残っていたり、「マイミクシィ」に登録してください、というメールが来たらどうするだろう?

足跡ならついついその人の「自己サイトエリア」をのぞくだろうし、その人のプロフィールにあるお薦めサイトURLをクリックすることだろう。また、親切でフレンドリーな文章でお願いされたら、まったくなじみの無い人でも「マイミクシィ」に登録してしまうかもしれない。

ところがこのシステムを悪用する輩が現れた。

簡単なプログラムを組んで不特定多数のミクシィ会員の「自己サイトエリア」に足跡をつけまくったり、特定のコミュニティ(特定のテーマを語り合う掲示板、グループのようなもの)のメンバーリストを抽出してそのメンバーに片っ端から「マイミクシィ」登録をしてほしいというメールを送りつけたのだ。

後者の場合、そのコミュニティを見ましたという言葉が盛り込まれているので、「ああなるほどね、同じ趣味趣向を持つ人なんだ」と思い、すぐに承諾してしまう。実際にそのコミュニティにその人がいるかどうかなど確認することなど普通はしない(数百人もいるコミュニティもあるからだ)。

かくして、多くの「足跡」「プロフィール」を経由したユーザーは、そのプロフィールに書かれてあるURLを参照し、広告なり勧誘なりのページに誘導されてしまうわけだ。あるいは自分の商材なり(悪徳)ビジネスの勧誘を行うコミュニティへ誘われてしまう。単に自分のブログやサイトのアクセスアップに用いられる場合もある。

流れとしては

「足跡」→「悪用者プロフィール」→「見せたい広告・勧誘ブログやサイト」

という形を彼らは望んでいる。

以前から、アトランダム、あるいはある一定の条件のもとに検索された不特定多数の会員に足跡をつけて、相手を誘導する手法は行われていた。それ自体は悪意の有無はともかく、規制しきれるものではない。

今回問題となっているのは、「プログラム化され、大量同時に実行できる」仕組みによってなされているからである。ただでさえアクセス過多が問題になっているSNSで、このようなスパム行為はシステムにとって百害あって一利なし。

この手法は現在爆発的に広まりつつある。理由は簡単。メリットがあまりにも大きいからだ。いくつかあげてみても

・個人情報、あるいはそれに近い情報が掲載されている場合が多いので、一つ一つの情報価値が高い

・同一趣味を持つコミュニティ会員に対して実行すれば、きわめて効果的に、ターゲットを絞ったスパム行為ができる

・この手法を実行できるプログラムがこともあろうに「情報商材」「情報起業ツール」として広まりつつあり、さらにその販売行為・手法自身が「お金稼ぎ」の手法として売買されている


などが列挙できる。ただ、こういったツールを何の考えも無く使う人のほとんどは入手したツール定型文をほぼそのまま使う。結果として同じような文体で、多数の見知らぬ人からのマイミクシィ希望メールが山ほど届き、「何だこれは」ということになる。このあたりの間抜けさは通常のスパムメールや掲示板への書き込みと同じだ。

Mixiでは利用規約内禁止事項項目に

「メッセージ機能や、マイミクシィ追加機能等を使った無差別送信や足あとを無差別につける行為は多くの人の迷惑となりますので禁止します」


とある。遅かれ早かれ規制がしかれ該当者のアカウント削除や対策がなされることだろう。だがしばらくの間は当局と「悪質勧誘手法利用者」のいたちごっこが続くものと思われる。

SNSへの信頼性を損ないかねない話だけに、早急かつ根本的な解決を当局側には望みたいところだ。


(最終更新:2013/08/29)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ