個人向け映画ファンド「忍」失速、元本割れも

2005年11月03日 12:00

映画イメージ[このページ(Sankei Webなど)は掲載が終了しています]の報によれば、映画制作費が個人の投資家から日本初の映画ファンドとして集められた【「忍-SHINOBI」】の興行成績が、元本保証の目安となる20億円を下回り、元本割れする可能性が明らかにされた。映画の売上だけでなくDVDなどの関連商品をあわせた総売上が来年末までに決定し、その額で分配金が決定する。

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記事によれば「忍」は山田風太郎原作「甲賀忍法帖」をベースとした忍者モノの作品。【松竹】が仲間由紀恵、オダギリジョー主演で製作をし9月中旬から全国公開されている。上映予定は11月上旬までだが、1月末までの興行成績は約14億円で、最終的に15億円程度にとどまる見通しという。DVDや関連商品の売上をプラスしても元本保証額の20億円達成は困難。

当映画ファンドは松竹が【みずほフィナンシャルグループ(8411)】と開発し、事業費の15億円のうち5億円分が1口10万円で個人投資家向けに募集され、1300人もの買い手がついたという。

興行成績が振るわず、元本割れしそうな件について松竹側では同時期に放映された他映画の影響を受けたと分析すると共に、元本割れについては「金融商品なのだから理解してほしい」という主旨の説明をしている。

天下の某大手証券の「日本戦略ファンド」の例にもある通り、ファンドをはじめとした金融商品は元本割れどころか半額以下まで暴落することもある。松竹の説明にもある通り「金融商品」ということを前提にして購入を検討しなければならない。

とはいえ、投資家に説明する際に他の金融商品と同じレベルの説明をしているのかどうかとなると、少々首を傾げたくなる面もある。ファンクラブ的・応援団的な面を強調し、「損する可能性も。自己責任で」という認識を持って各人が購入したのなら、それは問題ないのではあるが。

一般の上場株式や投資ファンドにしても、単に値動きだけを追って売買する以外の場合、多かれ少なかれ投資対象に好意を持ち、応援したいという気持ちの上で購入を決める。最近あちこちで立ち上がる「クリエイティブ系ファンド」(ゲーム、芸能人、漫画などなど)は特にその傾向が強い。

だからといって、それらが金融商品であり、自己責任で購入を決めねばならず、損をする可能性も十分にあることには違いない。その点を買い手は理解しなければならないし、売り手も丁寧すぎるくらいに念を押して説明すべきであろう。少しでも利を得ようとしてこれらのファンドを購入するつもりなら、対象となるものがヒットするかどうか(ファンであるかどうかではなく)を冷静に判断した上で決めねばならないのはいうまでもない。

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