楽天証券、国内株式新手数料導入の「再」延期を発表
2005年11月22日 08:00
『楽天証券』は11月21日、12月に予定されていた国内株式の新手数料の導入を再度延期することを明らかにした(『発表リリース』)。手数料の新システム導入を含めた値下げは一度10月から開始される予定だったが8月から9月にかけて断続したシステム障害の影響で、12月に延期されていた。今回の発表により延期は2度目となる。
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発表リリースは次の通り。
弊社社長より、国内株式新手数料導入の再延期について
平素は楽天証券をご愛顧いただき、心より御礼申し上げます。
さて、すでにお知らせ申しあげましたとおり、弊社では、現在、システムの安定稼働に向け、計画的・段階的なシステム増強策を実施してきており、この11月26日には一連の増強策の中で最も重要なものとして位置付けている基幹データベースサーバのさらなる追加等を実施いたします。
弊社では、システム増強策の実施により、お客様に快適かつ安定した取引環境を提供することが目下の最優先かつ最重要の課題と考えており、また、新たなシステム障害の発生を未然に防止するため、こうした施策の確実な実施のみならず、増強策の効果をも十分に見極める必要があると考えております。
こうした観点から、実施時期を12月に延期させていただいた国内株式の新手数料につきまして、大変心苦しい限りでございますが、再度延期をさせていただきたくお知らせ申し上げます。新手数料を期待して新たに口座を開設いただいたお客様、新手数料を楽しみにお取引を継続いただいているお客様が多数いらっしゃることは十分に承知いたしており、お客様のお怒りも心中察して余りあるものがございます。このような措置を取らざるを得ないことは私どもの不肖と致すところであり、深くお詫び申し上げるとともに、何卒ご理解を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
新手数料の導入につきましては、基幹データベースサーバの十分な容量確保と国内株式発注系システムの強化策を実施した後、それらの効果を確認したうえで、速やかに実施させていただく所存でございます。再度の延期になることに対するお詫びといたしまして、新手数料導入後に、新しい手数料コースである「ワンショットコース」においてポイントバック、あるいは期間を限定した割引措置など、お客様に何らかの誠意を示す必要があると考えており、現在具体的な方法を検討しております。実施時期とともに、決定いたしましたら、ご案内申し上げます。
新手数料を発表しながら、二度にわたる延期措置を取らざるを得ないことは誠に不本意な決断であり、ネット証券を経営するものとして面目次第もございません。全力をあげてシステムの改善強化を進めておりますので、ご理解を賜りたく重ねてお願い申し上げます。
平成17年11月21日
楽天証券株式会社
代表取締役社長 國重 惇史
楽天証券は先に【夏のトラブルの後に効果的な再発防止策が行われておらず結果として再度同様の原因によるシステム障害を引き起こしたとして、金融庁から業務改善命令を受け】ている。
金融庁の行政指導に対する報告と責任の所在の明確化、そしてもちろんシステム障害を引き起こした要因の改善もなしえていない段階で値下げをしようものなら、利用者の増大によって再度トラブルを引き起こす可能性は高く、さらなる問題追求がなされることは必至。
その危険性を考えれば、今回の手数料値下げ延期は賢明な措置といえるだろう。とはいえ、「12月予定だったのを延期」ということから、今年中の値下げはなさそうである。
年末に向けてますます個人投資家が増えるであろうことが予想されるだけに、この時期に手数料の値下げという効果的な勧誘手段を取れないことは、楽天証券にとってかなりの痛手になるに違いない。とはいえ事を急いでシステム障害対策をなおざりにしようものなら、似たような悲劇がまた繰り返されるだろう。仏の顔も何度までだったか、という話だけは避けたいと楽天証券側も考えているはずだ。
(最終更新:2013/09/04)
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