誰にとっての「問題解決」なのか!? 中国ウナギ、有害物質検出の会社への対日輸出を許可
2005年11月20日 11:20
『Yahoo News』によると、中国産ウナギ製品から有害物質「マラカイトグリーン」が検出されたことを受けて中国各地からの輸出が一時取りやめになっていたが、11月から広東省や福建省などで相次いで輸出許可が下りた。この許可された企業には、日本でマラカイトグリーンが検出された6社も含まれている。
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記事では8月にマラカイトグリーンが日本で検出された後、中国側で自主的に輸出停止。ウナギ出荷シーズンである10月から11月に禁止されたことで業界内に危機感が広まる。輸出業者に対して品質検査を行うと共に、地元業界団体が陳情し、11月2日に輸出許可が下りた。が、この許可が下りた企業には日本でマラカイトグリーンが検出された6社も含まれているという。
何度記事を読み返してもわからないのだが、検査をしたものの、問題が無かった、あるいは有害物質に関する問題が解消されたという記述は見つからない。さらに
地元の業界団体では、窮状を訴え、速やかな問題解決を求める書類を農業部に提出、11月2日に輸出の許可が下りた。「恵みの雨だ」と安堵感をもらす関係者もいるという。
とあり、「有害物質が入っていてもどうせ(日本に)輸出されるのだから知ったことではない。儲けさせてくれないと困るんだ!」と圧力をかけごり押し・無理強いし、許可を下ろさせた、ようにしか読めない。
そもそも「問題解決を求める書類」を「業界団体が出した」というあたりがおかしい。本来の「(ウナギに有害物質が含まれている)問題」を解決するのは業界側であり、輸出許諾をする政府機関側ではない。
となれば、引用した記事本文における「問題」とは、「(有害物質入りであることなどかまわずに)自分らのウナギが輸出できない」という業者側にとっての問題ということになる。「問題」は有害物質がウナギに入ってることであり、「(有害だろうが何だろうが)ウナギが輸出できなくて金儲けができない」ということではないはずだ。だがここでは、業者側が何らかの改善案を施して実施し、毒性が問題なくなったので輸出再開を許可して欲しいというようには読めない。
中国のウナギ業者にとっては「恵みの雨」かもしれないが、輸出先の日本にとっては「猛毒の酸性雨」でしかない。極端な資本主義思考に走るがため、倫理も何もあったものではない特定アジアから輸入されたものについては、何もウナギに限ったことではなく、「用心深く」なる必要があるのかもしれない。
なお厚生労働省のサイトによれば、「マラカイトグリーンは、緑色の合成色素で、我が国では合成抗菌剤として観賞魚の水カビ病の治療などに使用されていますが、養殖水産動物への使用は禁止されています。また、食品衛生法上の規制としては、食肉、食鳥卵及び魚介類は、別途基準がある場合を除き、合成抗菌剤を含有してはならないと定められていますので、マラカイトグリーンが検出された食品は、流通、販売等することはできません」「諸外国においても中国産鰻からのマラカイトグリーン検出事例が報告されている」などとある。いわずもがな。
(最終更新:2013/08/29)
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