『塊魂』ディレクターの高橋氏、イギリスBBCでゲーム業界を批判
2005年11月17日 04:35
【HOT WIRED JAPAN】によると、プレイステーション2用『塊魂』のディレクター、高橋慶太氏(ナムコ)はイギリスの【BBCニュースのインタビュー(英語)】で、ゲーム業界を厳しく批難している。曰く、「続編中心でマーケティングに支配されるゲーム業界は、独走的なアイディアをつぶしている」という。
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記事で高橋氏は、
高橋氏はこの業界について、新しいプレイヤーをゲームに惹きつけたいと口では言いながら新しいアイディアに投資することを嫌がる、と語る。 「開発者たちは楽しいゲームを考え出したいと思っているが、アイディアは売れそうかどうかという基準で判定される(Developers want to come up with fun games but ideas are judged by their sales potential)」と高橋氏。「決定は売上とマーケティングによって左右されるという現実がある(reality is that decisions are driven by sales and marketing)」
と語り、ゲーム業界の現状を批判している。
高橋氏は同時に、「単純にリアリティの追求のみを率先しているようであり、ゲームひとつひとつの個性やインパクトを表現させるような方面に傾注していない次世代機にはあまり期待はしていない」とも述べている。「ゲームファンたちは『色んな選択をしてもっと楽しみたい』と思っている。だから(今のような続編ばかり、マーケティング前提の押しなべて似たようなものばかりの現状では)ゲームを買おうとはあまり思っていない」と分析している。
確かに、「売れ筋の続編出せば必ずそれなりの数はさばける」というセールススタイルがゲーム業界に蔓延しているのは事実。だが、日本が資本主義社会である以上、ソフトを売って利益を出していかないとゲームメーカーは立ち行かなくなるというのも事実。
さらに、売れる要素を持つゲームが売れるためには、そのゲームを欲しいと思うだろう人にそのゲームの存在を伝えなければならないが、そのような情報伝達を行うメディアが本来あるべき役割を果たしきれていないのもまた事実(タイアップ記事なりさまざまな政治力などで左右されるポイント・ランキングやページボリュームの上下、果ては記事内容そのものが悪いと断じているわけではない。もちろん肯定もしないが)。ゲームの販売数ランキングから見てとれる続編の多さがその証拠だ。
高橋氏が「このままでは緩やかなデフレスパイラルに陥ってしまう」という懸念を持っているのは分かるし、実際そのような状況にあるのも間違いはないだろう。売上なりマーケティングなりを否定するわけではないが、ぬるま湯状態を良しとする、あるいは失敗しても責任を回避できるような手法しか採らないのなら、そうなっても仕方が無い。ゆで蛙になってからでは遅いのだが。
ゲーム業界に今一番必要なのは、革新的な発想と経営判断をもつ権限者、いやそれよりも「適切なマーケティングができる」営業・マーケティングスタッフなのかもしれない。
もちろん続編の存在自体を否定するわけではない。そして、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』のような独創的なゲームがロングセラーとなっているあたり、まだ救われるのだが。
ところで。何でこのような話はたいていが海外メディアから発せられるのだろう。不思議でならない。国内メディアで語ればいいと思うのは当方だけではあるまい。あるいは、国内メディアでは語れないし、語ったとしても「諸般の事情」から正しく意図を第三者に伝えられないからだろうか。ならば自分でブログなりを立ち上げて主張してもいいし、そういう「しばり」にとらわれないサイトで語ればいいのではないだろうか。
(最終更新:2013/09/20)
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