震度5強で16棟が倒壊の恐れ、必要強度の3割の建物も。国土交通省公表
2005年11月21日 19:10
【NIKKEI NeT】が報じたところによれば、【先に記事にしたように】姉歯(あねは)建築設計事務所による構造計算書の偽装によって複数のマンションが耐震性などに問題がある件で、【国土交通省】は11月21日、偽装の疑いが強い21棟のうち少なくとも16棟が「震度5強の地震で倒壊する恐れが強い」と発表した。同省では「各自治体で危険性を確認の上、入居者に移転してもらうなどの対応をとってほしい」としている。
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調査対象となった21棟のうち工事中・未着工の7棟の中で、サンプルとして再計算した3棟は震度5強で倒壊の恐れがあると判定。完成・入居済みの14棟はすべての建物で現行の建築基準法の耐震水準を大きく下回っており、大半は必要強度の3から4割程度だという。1棟以外の13棟は、震度5強で「大きく破損したり傾いたりひび割れるなどの恐れが強い」と指摘している。
対象となったマンションが位置する各地方自治体も対応に追われる中、マンションを販売した不動産会社のうちの一社で上場企業の【シノケン(8909)】については、対応が早いとする一方、一部報道(【NIKKEI NeT:「シノケンの苦しい「言い訳」」】)では自社の責任範囲を限定するかのような書き方であり、また自社の落ち度については微妙な言い回しを見せていると指摘されるなど、その責任の所在について批判を受けている面もある。
また今件で発生しうる費用については、シノケンでは最大10億円+5億円と算出し、その額自身も「本事件に関与する全ての関係者が応分の支出負担を行うべきもの」としている。一方、その算出額がそれで収まるかどうかは、現在のところ不明であるといわざるを得ない。
一部には不動産業界のよろしく無い面における「氷山の一角」が明らかにされたに過ぎないという指摘もある。さまざまな問題が今後も持ち上がってくるだろうし責任の所在、追及も長きに渡ることになるだろう。だが、まず第一に入居者の安全確保を最優先事項とすべきであることだけは確かである。
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