TBS株の買い増し制止に「どうして」と反論、楽天三木谷氏会見

2005年10月27日 07:43

株式イメージ10月26日夕方、楽天(4755)の三木谷社長は記者会見を行い、同社がTBS(9401)の株式19.09%を子会社を通じて取得したことなどを明らかにした。その記者会見の中で三木谷氏は株式買い増しについて「経営統合を成就させるため」とし、TBS側から交渉中は買い増ししないようにとされていた件には「株式は市場性のあるもの。交渉の進捗に関わらず、どうして買ってはいけないのか。正直に言ってよくわからない」と自論で反論した。

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またTBS側による「買収防衛策(ポイズン・ピル、新株予約権の発動による第三者割り当て増資)」については、投機目的を対象として買い集めている者に対する策であり、自分のような経営統合を目的とする場合には該当しない、さらには企業価値の向上を提案しているのだから敵対的買収にも当たらない、だから買収防衛策を発動するのはよろしくないと主張した。

この緊急記者会見では楽天が例えば、TBS側の買収防衛策発動のキーとなる20.0%超の株式を取得したとか、TOB(株式公開買付)による敵対的買収の発表をするのではないかと推測された。そこで多くのテレビキー局が生放送で中継したものの、肝心な中身は既知の事柄(取得比率などについては直前に発表されていた)や楽天側の主張のみだったため、肩透かしを食らった形となり、中継を途中で打ち切る局も出る始末だった。

また、記者会見の内容はもちろん、会見中の三木谷氏の表情や口調などから、「会見を開いたことでかえって状況は悪化したのではないか」とする意見も少なくない。前後してSBIホールディングス(8473)のCEOの北尾氏は同社の記者会見において、「私には楽天の意図をくじくいいアイディア」がある、と撃している。

市場に出回っている株式を買って何が悪い、という楽天側の主張には一理ある。とはいえ先に[このリンク先のページ(tbs.co.jpなど)は掲載が終了しています]としておきながら買い増しを行い、敵対的買収ではないとしておきながら敵対的な意思表示を繰り返すあたり、言葉は悪いが「二枚舌」と思われても仕方ないのではないだろうか。

一連の株式購入による買収、もとい経営統合のためのアプローチにかかっている資金の調達手段や現在の楽天自身の財務状況を鑑みるに、なりふりかまっていられない事情は分からないのでもないのだが。

経営統合とはよほどの事情がない限り、該当各社が綿密に話し合い、意思疎通を為した上で、合意が得られて初めて行われるもの。それが不可能なら株式の取得などによってごり押しするしかない(大抵こういう場合は統合してからひずみを生じることになる)。今件の場合、楽天側に「綿密に話し合うだけの時間的余裕」が無かったため、強硬な手段に出ざるを得なくなったということなのだろう。

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